堺市西区で行われる火渡り神事「やっさいほっさい」は、日本最古の戎社とされる石津太神社で毎年12月14日に執り行われます。
担当年の町会と青年団が中心となり、20時頃から始まる「火渡り」では、境内を赤々と照らす炎の中を勇壮に進む姿が見どころです。当日は多くの見物客が訪れ、冬の夜を熱気が包みます。
この神事は、海に漂着した蛭子命(ひるこのみこと)を村人が救い、薪を焚いて体を温めたという故事に由来すると伝えられます。燃やした薪の数が108束であったことから、その音が転じて「やっさいほっさい」と呼ばれるようになりました。さらに、薪の燃え残りは京都の大文字山のように厄除けとして持ち帰る風習も残っています。
管理人の薫子NHKの新日本風土記でも紹介された「泉州の奇祭」は、地元企業の経営者や商売人もご利益を求めて集まります。
やっさいほっさい








神木を積み上げた「とんと」に火を放つと、選ばれた「戎さん」を「足持ち」が担ぎ上げ、「やっさい、ほっさい」の掛け声とともに素足で炎の上を渡ります。3度の火渡りを終えると、「戎さん」を降ろさぬまま境内を3周小走りで巡り、本堂へと戻ります。
その後は青年団の若者たちが順に火渡りを行い、勇ましい姿が夜空を背景に浮かび上がります。
神事としては「戎さん」が本堂に戻った時点で終了しますが、続いて鏡割りが行われ、振る舞い酒とともに乾杯で締めくくられます。
やっさいほっさい 日程
境内に車やバイクを止める場所はありません、自転車は場内の係の方に訪ねてください。
- 日程:毎年12月14日
- 場所:石津太神社
- 住所:大阪府堺市西区浜寺石津町中4丁12-7
当日の予定時間
やっさいほっさい 参加について


一般見物者の私たちも「火渡り」に参加することができます。
時間は例年通りであれば、だいたい21時20分頃からの一般開放です。
他のブログでは、「ナイロンの服装やサンダルはダメ」「子どもは参加できない」「つま先歩きは禁止」「関係者のチェックがある」など、いろいろ書かれていますが、実際はそんなことはありません!
ナイロンの服でもサンダルでも大丈夫で、杖をついたお年寄りも小さな子どもでも問題なく参加しています。
つま先歩きや摺り足歩きもOKで、もちろん関係者のチェックなどもありません。走れるなら走ってください、というくらいの自由さです。
なぜ?そう言えるかというと、一般開放される頃にはすでに関係者が放水を始めており、ほとんどの炭は鎮火しています。ですから、全く熱くありません。12月の夜9時過ぎ、むしろ炭の上は温かく感じるほどです。
ただし、一般開放の直後はまだ熱気が残っているので注意してください!
上の写真は青年団が火渡りをしている様子ですが、周囲の人たちの中には「まだ神事が続いている」と思っている方も多いようです。実際にはこの時点で神事としての行事はすでに終了しています。
みんなで渡れば熱くない


気合いの入った一般の方は、この時間帯に参加しても問題ありませんが、初めての方やお子さん連れの方は放水が始まってからの方が安心です。
放水が始まると、見物客の多くがご利益を願って火渡りに参加し始め、大行列になります。そのため走りたくても走れないほどですが、距離はおよそ5メートルほどです。
ですから、怖がらずに気軽に参加してみてください。みんなで渡れば本当に熱くありません。
消え炭にはご利益が


ご利益があるとされるのが、薪の燃え残り「残り炭」や「消え炭」です。
ネット上では、行事終了後に争奪戦になるような話も見かけますが、実際にはそんなことはありません。放水が始まったら自由に拾って大丈夫で、境内には一面に炭が散らばっています。拾えない!なんてことはあり得ないです。
ただし、大文字の「消え炭」と違って、薪の形が残るような大きな炭はありません。多くの人が渡った後なので、ほとんどが500円玉ほどの大きさになっています。真っ暗な境内で黒い炭を探すのは苦戦するかもしれませんが、清掃が始まっていなければ翌朝でも拾うことができるでしょう。



その頃には粉々になっていますが・・・
この「残り炭」は、商売繁盛のご利益と書かれていることが多いですが、もともとは蛭子命を救った薪の残りとされ、無病息災のご利益があると伝えられています。持ち帰りたい方は、必ず容器とトングを用意しましょう。ビンやボトル缶などフタができるものがおすすめです。
炭を入れたら必ずフタを閉め、完全に消火させてください。持ち帰りの途中で再び火がつく危険があるため、拾った炭は放水係の方に水をかけてもらうと安心です。トングは100円ショップの氷用トングが扱いやすく、割り箸を使う場合は燃えないよう注意しましょう。
そして、最後に
地元民しか知らない「2つ目のご利益」とは


さらなるご利益を願う方は、縁起物の「お和え」を一口いただいてみてください。
やっさいほっさいは、堺の冬を彩る神事として古くから親しまれています。地元の人はもちろん、遠方から訪れた方でも気軽に見物や参加ができます。火渡りで無病息災を祈り、拾った消え炭を家族や友人に分けることで、幸運のお裾分けにもなるでしょう。






