毎年1月、堺市西区にある家原寺には、受験生や家族の祈りが集まります。地元で「家原の文殊さん」と呼ばれるこの寺は、合格祈願の「家原のハンカチ」で知られ、学業成就を願う人々が全国から訪れます。
境内では冬の風物詩「とんど」も行われ、炎に願いを込める姿が印象的です。かつての八田荘だんじりの記憶を残しながら、今も変わらず信仰をつなぐ家原寺。その静かな時間の中に、堺の人々の祈りと歴史が息づいています。
家原寺と「家原のハンカチ」






堺市西区家原寺町にある家原寺は、通称「家原の文殊さん」と呼ばれ、受験の神様として親しまれています。
境内には行基菩薩像と三重塔があり、古くから地域信仰の中心でした。特に有名なのが「家原のハンカチ」と呼ばれる合格祈願です。本堂の隣で販売される祈願用のハンカチに、受験生や家族が願いを書き込んで貼ることで、試験の成功を祈ります。
年明けからセンター試験や高校入試の時期にかけて多くの参拝者が訪れ、地元ニュースにも取り上げられます。近年は記入用のテーブルや文具が設置され、昔よりも参拝がしやすくなりました。
ほかにも「合格祈願ろうそく」や「お香」があり、受験期の静かな支えとして知られています。
家原寺のとんど行事


家原寺では、毎年1月最終日曜日に「とんど」が行われます。これは古くから続く新年の火祭りで、学業成就や無病息災を願う行事です。当日は午前9時から受付が始まり、午後3時頃には中院で大般若法要が営まれ、17時頃に点火が行われます。
奉納料は2,000円で、焼却物は1kgまでが目安とされています。現在はお守りや正月飾りなどの縁起物のみが対象で、昔のように教科書やノートを焚き上げることは行われていません。
合格祈願と合わせて訪れる人も多く、試験を控えた受験生には心強い風習として受け継がれています。
アクセスと参拝情報

所在:大阪府堺市西区家原寺町1-8-21
家原寺へは、JR阪和線「津久野駅」から徒歩約15分です。駅前から南海バスも運行していますが、本数が少ないため時間帯には注意が必要。
歩行が難しい場合は、津久野駅前からタクシーを利用すると約5分(ワンメーター程度)の距離です。
車で訪れる場合は、家原寺の手前に参拝者専用の駐車場があります。駐車料金は500円、隣接する家原寺体育館の駐車場は無関係なので注意してください。
拝観時間は午前10時から16時までで、年末年始は時間が変更されるので実際に訪れる際は、最新情報を確認してから計画を立てましょう。
堺に息づく受験祈願と地域信仰

家原寺は、堺の暮らしの中に根づいた祈りの場です。「家原のハンカチ」に込められた願いや「とんど」で燃やされる縁起物には、人々の希望と感謝の心が映し出されています。境内に祀られる行基菩薩は、奈良時代から学問と慈悲の象徴として信仰を集め、今も多くの参拝者を静かに見守っています。
時代が変わっても、学問とご利益を結ぶこの寺の風景は変わりません。今も多くの人が足を運び、春には合格の報告と笑顔を届けに再び家原寺を訪れる人たちの姿が見られます。

