テレビ朝日の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』を、私は以前ほど見なくなりました。
番組そのものが嫌いになったわけではありません。今でも、好きなことを夢中で調べ、大人顔負けの知識を披露する子どもたちは立派すぎます。
ただ、同じ博士ちゃんが繰り返し大きな企画に起用されるようになり、番組開始当初に感じていた面白さとは少し違うものに見えるようになりました。
同じ博士ちゃんが海外へ行くことへの違和感
特に疑問を感じるようになったのが海外ロケです。古代エジプト博士ちゃんとして出演している田中環子さんは、2023年1月の放送で初めてエジプトを訪れました。ピラミッドやスフィンクスだけでなく、通常は入れないエリアなども取材しています。
さらに2025年7月には、博士ちゃん海外プロジェクトとして再びエジプトを訪問しています。テレビ朝日の公式サイトにも「2回目のエジプト訪問」と明記されています。
もちろん、同じ分野を長く研究してきた子どもの成長を追い続けることには意味があります。一方で、考古学や古代文明に興味を持つ子どもは彼女だけではありません。だからこそ、これほど貴重な海外体験を同じ博士ちゃんに繰り返し提供する必要があるのだろうか、と私は感じるようになりました。
一度出演した子どもの成長を追う企画と、まだ知られていない新しい博士ちゃんに機会を与える企画。そのバランスがもう少しあってもいいのではないでしょうか。
世界遺産博士ちゃんにも感じた同じ疑問
世界遺産博士ちゃんとして長く出演している山本・リシャール登眞さんについても、似たような印象があります。
2022年には16歳で白川郷を紹介し、その後も世界遺産に関する企画へ出演しています。2025年2月には19歳でイタリア世界遺産の旅に登場し、同年11月放送のサグラダ・ファミリア特別編では20歳になった山本さんが「世界遺産博士ちゃん」として出演しています。
長年出演してきた博士ちゃんが成長し、さらに知識を深めていく姿を見られるのは、この番組だからできることです。ただ、現在テレビ朝日の公式サイトで募集されている「博士ちゃん」の対象年齢は「概ね小学生~中学生」とされています。
それを考えると、大学生になった出演者を引き続き「博士ちゃん」として大きな企画に起用するより、新しい世代の子どもたちにも同じような機会があっていいのではないかと思います。
プロデビュー後も「博士ちゃん」なのか
私が最も疑問を感じたのは、「美空ひばり博士ちゃん」として出演してきた梅谷心愛さんです。
梅谷さんは番組出演後にプロの演歌歌手としてデビューしています。それでも番組では「美空ひばり博士ちゃん」として出演を続け、2025年1月の放送でも17歳の「美空ひばり博士ちゃん」として登場しました。
さらにテレビ朝日は2025年11月の放送で、梅谷さんについて「プロの歌手としてデビュー」した人物として紹介しながら、「美空ひばり博士ちゃん」として歌手活動に密着しています。プロになったあとも、番組が成長を追い続けること自体は理解できます。
しかし、すでに歌手を職業として活動している人物まで従来と同じ「博士ちゃん」という枠組みで扱う必要があるのか、私は疑問に感じます。
プロとして活動している以上、番組出演が本人の知名度や活動を広げる機会になる側面もあります。それなら「博士ちゃんのその後」として紹介するほうが、番組の趣旨にも合っているように思います。
私が好きだった「博士ちゃん」の面白さ
私が番組を見始めた頃に魅力を感じていたのは、有名になる前の普通の子どもたちが、自分の好きなことについて夢中で話す姿でした。大人でも知らないような知識を披露する子がいる。自宅の一室が好きなもので埋め尽くされている子もいる。
周囲には理解されにくい趣味を、とことん追究している子もいます。
実際に番組では、古生物を2000点以上集めている子どもや、140点以上の時計に囲まれた部屋を持つ子どもなど、それぞれ異なる「好き」を持った博士ちゃんが紹介されてきました。
そんな子どもたちを家族で見ながら笑ったり、その知識に驚いたり、将来どんな道へ進むのだろうと応援したりできるところが、この番組の良さだったと思います。
「新しい博士ちゃん」をもっと見てみたい
番組が長く続けば、過去に出演した博士ちゃんの成長を追いかける企画が生まれることは理解できます。ただ、特定の博士ちゃんが同じ分野を代表するように何度も出演し、大きな企画や海外ロケまで任される現在の形には疑問を感じます。
考古学や世界遺産など、これまで登場した博士ちゃんと同じ趣味や研究を続けている子どもが出演してもいいのではないでしょうか。同じテーマでも、興味を持ったきっかけや調べ方、着目するポイントは一人ひとり違います。最初に出演した子どもだけが、その分野の代表者のように扱われ続ける必要はないと思います。
私が見たいのは、特定の博士ちゃんが活躍し続ける姿だけではありません。同じものを好きな別の子どもにもスポットを当て、それぞれの知識や視点を紹介してほしいと思っています。
さまざまな子どもたちの「好き」を知り、その知識に驚き、これからの成長を応援できる。そんな番組開始当初に感じていた面白さが戻れば、私はもう一度『博士ちゃん』を見たいと思います。

