堺市の通せんぼおじさん事件|私道トラブルと共有地の問題

堺市は泉州それとも河内

大阪府堺市西区の住宅街で、長年にわたって私道の通行をめぐるトラブルが続いていました。
問題となったのは、車も通れないほどの狭い路地です。この土地は一人の所有地ではなく、平野保生容疑者を含む近隣住民9人が共同で所有する共有地でした。

ほかの共有者は通路として利用することを認めていたとされますが、平野容疑者は自宅前の道路を自分の土地だと主張し、通行する住民との間でトラブルを繰り返していました。

目次

2003年ごろから私道をめぐるトラブルが発生

共有地に私有地とペンキで書かれた痕

平野容疑者と近隣住民とのトラブルは、2000年代から続いていたとされています。報道によると、2003年には「自宅前に犬のふんを放置する人がいる」として、問題となった私道に金網フェンスを設置しました。

その後、住民の通行を妨げたとして、2005年に往来妨害容疑で逮捕されています。
一度目の逮捕後はしばらく大きな問題が起きなかったものの、再び自宅前に植木鉢などを置くようになり、近隣住民との対立が深まっていきました。

私道に70個以上の植木鉢を置いて通行を妨害

2015年には、平野容疑者と妻が自宅前の幅約2.5メートルの私道に、多数の植木鉢やコンクリートブロックを置いていたことが問題となりました。植木鉢は70個以上に及び、高さ160センチを超える草木もあったと報じられています。通路は事実上のバリケード状態となり、歩行者が植木鉢の隙間を横向きになって通らなければならないほど狭くなっていました。

近隣住民によると、通行しているところを平野容疑者に見つかると、自宅から出てきて自分の敷地を通らないよう強く主張することもあったといいます。

2015年11月に夫婦で逮捕

大阪府警西堺署は2015年11月24日、私道に植木鉢などを並べて周辺住民の通行を妨害したとして、平野保生容疑者と妻を往来妨害容疑で逮捕しました。警察は、植木鉢が置かれていた場所について、平野容疑者夫妻だけの私有地ではなく、近隣住民9人が共同で所有する土地だったと説明しています。

また、周辺住民が日常的に利用する通路となっていたことから、通行を妨げる行為について往来妨害罪が成立すると判断されました。

平野容疑者は、自分の土地であるため往来妨害には当たらないとして容疑を否認していました。

その後も通行をめぐるトラブルが継続

共有地に私有地とペンキで書かれた痕

逮捕後も、私道をめぐる問題は解消しませんでした。平野容疑者は2017年3月にも往来妨害容疑で逮捕され、その後、有罪が確定しています。

さらに2017年9月から11月にかけては、平野容疑者をめぐる110番通報が相次ぎ、この期間だけで10~20件程度の通報がありました。平野容疑者は道路上に白いペンキで「私有地」と書き、通行しようとする人との間でトラブルを繰り返していました。

2017年11月に自転車の男性への傷害容疑で逮捕

2017年11月8日、問題は再び事件へ発展します。

大阪府警西堺署によると、平野容疑者は自宅前の私道を自転車で通行していた20代男性の進行を妨げ、自転車を倒したうえ、胸ぐらをつかむなどしたとして傷害容疑で現行犯逮捕されました。男性はひざなどを打撲し、全治10日のけがを負いました。警察官が現場へ駆けつけた際にも、平野容疑者は男性の胸ぐらをつかみ、フェンスに押しつけていたとされています。

一方、平野容疑者は「私有地に勝手に入った自転車を止めようとしただけ」という趣旨の説明をして、容疑を否認していました。

問題の道路は平野容疑者だけの私有地ではなかった

この事件を理解するうえで重要なのが、問題となった土地の所有関係です。報道によると、この道路は平野容疑者一人が所有する土地ではなく、平野容疑者を含む近隣住民9人による共有地でした。

つまり、平野容疑者が「私有地」と主張していたとしても、本人だけが自由に通行を制限できる土地だったとはいえません。ほかの共有者も生活道路として利用していたことから、平野容疑者による植木鉢やブロックの設置などが、往来妨害事件へ発展することになりました。

共有地とは

共有地とは、一つの土地を複数の人が共同で所有している状態の土地です。
一人だけが所有する土地とは異なり、共有者それぞれが持分を有しているため、特定の共有者だけの判断ですべてを自由に扱えるとは限りません。

今回の事件でも「私道だから自由に通行を禁止できるのか」という問題だけでなく、複数人が所有する共有地であったことが重要なポイントになります。

私道なら自由に通行を禁止できるのか

今回の事件をきっかけに考えたいのが、私道における通行権です。

一般的な道路に見えても、土地の所有関係を調べると個人や複数人が所有する私道だったというケースは存在します。しかし、私道だからといって、所有者が必ず自由に第三者の通行を禁止できるとは限りません。

私道の法的な扱いを考える場合、少なくとも次のようなケースを分けて確認する必要があります。

  1. 建築基準法上の道路として扱われている私道
  2. 他人の土地を通らなければ公道へ出られない土地に関係する通行権が問題となる場合
  3. 建築基準法上の道路ではなく、通路として利用されている私有地
  4. 土地の一部が事実上の通り道として利用されている場合

どのケースに該当するかによって、所有者の権利と通行する側の権利関係は変わります。そのため、「私道だから所有者以外は通れない」「長年通っている道だから誰でも自由に通れる」と一律に判断することはできません。

堺市で起きた一連の事件についても、単純な私有地への立ち入り問題ではなく、土地が複数人の共有地であり、近隣住民の通路として利用されていた事情を踏まえる必要があります。

普段何気なく利用している道路だからこそ、安心して通行できる環境であってほしいと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次