Mitre 10 Cup ニュージーランド州代表選手権
Mitre 10 Cup(マイター10 カップ)とは、ニュージーランドで最もレベルの高い国内ラグビーリーグです。
1976 – 1984 National Provincial Championship
1985 – 2005 National Provincial Championship
2006 – 2009 Air New Zealand Cup
2010 – 2015 ITM Cup
2016 – 現在 Mitre 10 Cup
多くのチームはリーグ発足時よりも前の1800年代後半に設立され、対抗戦や1904年から始まった「盾」を賭けたタイトルマッチ防衛線ランファーリーシールド(Ranfurly Shield)等が行われていました。
ニュージーランドラグビーで耳にする「NPC」とは2005年までの選手権タイトル(National Provincial Championship)の頭文字です。
日本では、全国州選手権大会と呼ぶ人もいます。
メインスポンサーが変わるごとに冠名も変わります。
Air New Zealand Cup=ニュージーランド航空
ITM Cup=Independent Timber Merchants(建築資材管理組合)
Mitre 10 Cup=マイター10(ホームセンター)
出場チーム
2018年シーズンのチーム一覧です。
上位リーグがPremiership(プレミアシップ)
下位リーグがChampionship(チャンピオンシップ)
- オークランド ラグビーユニオン
- カンタベリー ラグビーフットボールユニオン
- カウンティース・マヌカウ ラグビーフットボールユニオン
- ノースハーバー ラグビーユニオン
- タラナキ ラグビーフットボールユニオン
- タスマン ラグビーユニオン
- ウェリントン ラグビーフットボールユニオン
- ベイ・オブ・プレンティー ラグビーユニオン
- ホークスベイ ラグビーユニオン
- マナワツ ラグビーユニオン
- ノースランド ラグビーユニオン
- オタゴ ラグビーフットボールユニオン
- ラグビー サウスランド
- ワイカト ラグビーユニオン
ニュージーランドラグビーの位置付け
一般的には、地域のクラブチームで活躍すると州代表に選ばれ、州代表で活躍すればスーパーラグビーチームと契約、そして頂点はオールブラックスです。

ニュージーランド ラグビー
学生ラグビーもクラブラグビーと同じ位置付けとされていますので、在学中に州代表までステップアップする選手も多くいます。
スーパーラグビーは国際プロリーグの組織に属するので、州代表の試合が国内最上位リーグとなります。
期間と試合数
スーパーラグビーの全日程が終了する7月中旬にスコッドが発表され、8月中旬から10月下旬まで各チーム10試合が行われます。
リーグ戦は9週間で行われるため、2試合の週が必ずある。
「Premiership」「Championship」の交流戦も行われる。
プレーオフと入替え
Premiership Division
上位4チームで行われるトーナメント勝者が年間チャンピオンとなる。
最下位チームは、翌年「Championship」に降格となる。
Championship Division
上位4チームで行われるトーナメント勝者は翌年「Premiership」に昇格となる。
選手
4ヶ国対抗戦(ニュージーランド代表)に出場する選手や、日本のチームと契約している選手等を除き、スーパーラグビーに出場した多くの選手が所属しています。
もちろん、代表戦が無ければ代表選手も出場していますし、対抗戦の23人から外れた選手がマイター10に急遽出場したりするケースもあります。
そして、14チームは州代表なので傘下のクラブチームから招集されたノンプロ選手もたくさんいます。
(出場すると給料が支払われます)
ここで活躍できれば、スーパーラグビーのトレーニングスコッドに入ることも可能です。
プロで活躍する選手の多くは新人時代からのチームに在籍しますが、特に決まりはないので前チームの契約が切れていれば自由に移籍できます。
以前は北島vs南島(North v South)オールスター戦も
余談ですが・・・
1897年から2012年まで「北島vs南島」の対戦が行われていましたが、このチーム分けは、その年に在籍していたクラブチームでは無く、初めてプロ契約したチームからの選出となります。
例えば、初めてプロ契約したチームがノースランド(北島)だとすると、その後タスマン(南島)に移籍しても、絶対に北島のチームとして出場しなければなりません。
もちろんニュージーランド人だけの試合ではないので、海外出身の選手が州代表のチームと契約すれば出場資格は与えられますが、試合の目的はオールスター戦の要素を持ちながらも、NZ代表のセレクションマッチ(選考試合)となるため、出場資格はあっても代表資格が無ければ選ばれないと思います・・・
2012年は財政危機に陥ったオタゴラグビー協会の資金集めマッチを開催しました。
その後スーパーラグビーの日程が過密となり、対抗戦の日数が増えた2013年以降の開催はありません。
圧倒的に北島が有利なチーム編成なので過去の対戦成績は、80試合(北島50勝・南島27勝・3分)です。
今やれば、恐らく南島の方が強いと思うのですが・・・
ノースランド、ノースハーバー、オークランド、マヌカウ、ワイカト、ベイ・オブ・プレンティー、タラナキ、ホークスベイ、マナワツ、ウェリントン
南島
タスマン、カンタベリー、オタゴ、サウスランド
ニュージランド人トップリーガーの大半は
留学生として日本の大学を卒業し、トップリーガーになった選手を除けば、大半のニュージランド選手は州代表のチームに在籍していたと思います。
(違っていたらゴメンなさい)
神戸製鋼のアンドリュー エリスとダン カーターはカンタベリー出身、ヘイデン パーカーはオタゴ出身、マイケル リトルはノースハーバーと切りがないので・・・
2009年マイク デラニー(元パナソニック)、2013年アンドリュー エリス(神戸製鋼)がシーズン最優秀選手に選ばれています。
年俸
2017年時点では、サラリーキャップ制度です。
最低年俸補償は約136万円から上限は約4,200万円です。
代表契約をしている選手には、年俸とは別にインセンティブ制度による報酬が貰えます。
傘下にあるクラブチーム
日本とは比べ物にならない位のチーム数が存在します。
全てがアマチュアチームで、セブンズや女子チームも含めると1チーム当たり100を超すクラブチームがあります。
(プロ契約している選手もいます)
スーパーラグビー(SR)を目指すには、シニアのカテゴリチームからランクアップしていく必要があります。
「シニア3」→「シニア2」→「シニア1」→「プレミア」→「州代表」→「SR」
※数字がランクになり、3以降のランクも沢山あります。
※プレミアはそのカテゴリの最上位を意味します。
シニア以外のカテゴリも選べます
体格差による怪我を防ぐために、85kg以下(Under 85kg rugby)や、健康を目的とした週末ラグビーやジュニアチーム、シニア未満(U16、U19、U21)から40代以上(O40、O50、O60)等のカテゴリがあり、それぞれに「●●3」→「●●2」→「●●1」→「プレミア」とランク分けがあります。
例えば、高校生の多くはU16のカテゴリに入り、「U16_3」→「U16_2」→「U16_1」→「U16_プレミア」とランクアップを目指します。
練習や試合も同じカテゴリの同じランクに所属する選手と行われるので、怪我を防ぎ互角の試合を行うことができるのです。
ニュージーランドラグビー最大の魅力は、年齢や体格と自分の実力にあったカテゴリを選択しプレーできるので「体格が小さいから危ない」とか「レベルが低いから試合に出れない」などを理由に辞める人が少ないのです。
(同レベルの選手と練習や試合ができることが重要ポイントです)
学生ラグビーはレギュラーにならないと大会に出場できない日本とは大きく違います。
クラブチームの活動期間は学内クラブを除き、1月下旬か遅くても2月上旬には練習が始まり、3月下旬から8月上旬までが1シーズンとなります。
説明が分かりにくくてスミマセン
【カテゴリは学年】【ランクは階級】と例えるともう少し分かり易いでしょうか?
スーパーラグビー傘下
完全な傘下ではありませんが、ノースランドを例に挙げるとノンプロ選手に対してはブルーズ以外のチームは直接交渉できない決まりがあります。
2006年に設立したタスマンを除けば「州代表チーム」は「スーパーラグビー」傘下ではないがリンクしていると言えるのではないでしょうか。
スーパーラグビー | 州代表チーム |
クルセイダーズ | カンタベリー |
ブルーズ | オークランド ノース・ハーバー ノースランド |
チーフス | カウンティース・マヌカウ タラナキ ベイ・オブ・プレンティー ワイカト |
ハリケーンズ | ウェリントン ホークスベイ マナワツ |
ハイランダーズ | オタゴ サウスランド |
日本人でも参加できる
日本人で州代表に選ばれた選手は8名います。
最近では、田中史朗と堀江翔太(オタゴ)、茂野海人(オークランド)がプレーしました。
ここで思うのは、3人ともトップリーグに在籍しているから挑戦できたと思っていませんでしょうか?
面倒な手続きなどは、所属する日本のクラブチームがサポートしたと思うし、オタゴに挑戦した2人は、元チームメイトで当時オタゴのHCに就任したばかりのトニー ブラウン氏の推薦があったと報じられましたが、スコッドに入れるかは実力が全てです。
堀江選手はパナソニック入部前の2008年にニュージーランドに渡り、州代表(カンタベリー)を目指しましたがスコッド入りは叶いませんでした。
(当時のチームメイトにニュージーランド代表のサム ホワイトロックがいます)
そして、みなさんも州代表に挑戦することは可能なのです。
もちろん、簡単ではありませんが・・・
語学力も必要です。
なぜなら、傘下のクラブチームは誰でも入ることができます。
その方法は?
以前は、練習グランドに行き「チーム練習に参加したい」と伝えれば一緒に練習ができ、プレーが認められれば試合に出場することもできました。
(現在は多分無理だと思います)
恐らく外国人の参加は、ID提示やスポーツ保険の加入など一定の条件をクリアしないと参加できないチームが多いみたいです。
なので真剣に参加を考えている人は、チーム練習が開始される1月までに州代表か傘下チームに連絡しましょう。
(チームのHPやFBからでも可能だと思います)
ただし、全てはの会話は英語です。
在学中であれば英語の先生にお願いして連絡してもらう手もあります。
ちなみに、エントリーするカテゴリとランクは自己申告です。
高校在学中に行くなら「U18」、高校卒業後なら「U19」や「U21」などがあり、州代表に一番近い「シニア」で練習したい人は「シニア_3」か更に下のランクから始めた方が無難だと思います。
自分のレベルより低いクラスから開始しても、プレーを見てレベルが合っていないと判断されれば直ぐに上のクラスに推薦してもらえます。
もちろん、下のランクに下げられることもありますが、それは怪我を防いだり練習についていけない落ちこぼれにならない配慮だと思ってください。
州代表直下の「シニア_プレミア」はコーチの推薦がないと入れません。
カテゴリやランクのレベルは実際に見ないと分からないのが辛いところですね・・・
チームに合流し練習と試合を重ねランクを上げていけば、田中選手や堀江選手、茂野選手と同じ州代表直下のプレミアチームでプレーすることができます。
そこでも活躍すれば晴れて州代表プレーヤーとなりマイター10に出場できます。
そしてその先はスーパーラグビー・・・
2012年オタゴで活躍した田中選手は、ハイランダーズと契約し、翌年2月にスーパーラグビーデビューを果たしました。
堀江選手は日本人特別枠を採用したオーストラリアのレベルズと契約し、田中選手と同じ日にデビューしています。
以上が私の知るニュージーランドラグビーです。
古い記憶や、ニュージーランドの知人に聞いた曖昧な情報も混じっていますので、あくまで参考程度に読み終えてください。
余談ですが
田中選手は2012シーズンのスタートメンバーに入りました。
各チームのスコッドは35人弱、その中にスーパーラグビーの主力選手も入って来ます。
当然スコッドに入るには狭き門ですが、入れば地元の英雄として扱われます。
茂野選手は、オークランド傘下のシニア(プレミア)チームの一つポンソンビーRFCでのプレーが認められ、オークランドの短期召集スコッドに入り、開幕40日前にスコッドに選ばれました。
その年オークランドはプレミアシップの2位に入り、プレーオフ決勝(vsカンタベリー)ではスタメン出場を果たしました。
チームメイトには、ビンス アソ、ベン ラム、アキラ イオアネ等そうそうたる名前が!
惜しくも決勝戦は25–23で敗れましたが、茂野選手はオークランドで一番有名な日本人ラガーマンです。
コメント
よく耳にする「マイター10」ですが、どういった組織でリーグ運営されているのか分かりませんでしたが、この記事を読んで解決しました!
とても参考になりました。
昨年は、瀧澤選手と内田選手もデビューしましたね。
州代表は狭き門かもしれませんが、多くの若者がチャレンジできればと思います。